この夢のどこかに/ホロウ・シカエルボク
 
れない、でも、映写室へ出向いてそれを確かめるには、あまりにもこの映像にのめり込んでしまっていた、これを作ったのはもしかしたら、これをセットした人間なのかもしれない、いつの間にかそんな風に考え、すっかりそれを真実のように受け止めてしまっていた、蝋細工の偽物の人間はもう数えきれないほどの人生をその中で生きていた、溶けて広がっては蘇り、溶けて広がっては蘇った、待て、と、そこで初めて俺は気付いた、オープンリール・タイプのアナログの映写機とテープで、果たしてこんなことが可能なのだろうか?でもすぐに、アナログの作品をデジタルに落としたのかもしれない、と考え直した、結論としては妥当な線だったが、どこか納得するこ
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