この夢のどこかに/ホロウ・シカエルボク
 
態とは言えなかった、スピーカーは生きているようだったが、このムービーには何の意味も成さなかった、時折乱れる画面はそれがアナログの機材で撮影され、編集され、投影されていることを示していた、デジタルを加工したものであるはずがなかった、それは本物にしかない質感とリズムを持っていた、俺はそこらへんに転がっている瓦礫を適当に寄せ集めて座る場所を作り、もう一時間はその映像を見つめ続けていた、映写室から確かに光は伸びていたが、映写機を動かしているだろう人間の姿は見つけられなかった、もしかしたら、フィルムをセットしてどこかへ行ってしまったのかもしれない、あるいは、フィルムの他にもセットするものがあったのかもしれな
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