Transit Time/ホロウ・シカエルボク
けていた安いアルバイトを辞めて、恋人に別れを告げて、大事なものだけを持って旅に出た、もう一度この街に帰るつもりなのかどうか、それすらもわからなかった、ただ生まれたからそこに居たというだけの、下らない街だ、どんな自分にもなれない連中が、社会の末端でクソ真面目に生きて、酒に酔いニコチンをばらまき、適当な恋に落ちて適当な遺伝子を残す、そんな街、夏には全国的に知られている派手な祭りがあって、その時集まったお金で一年を食い繋ぐ街…良く出来ているな、とは思う、とても良く出来ている、ただ生きているだけの人たちが楽しく生きられるためのシステムが、完璧に構築されている、レゾンデートルやロックンロールとは無縁の人生な
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