Transit Time/ホロウ・シカエルボク
 
生なら、こんなに楽しいところはないのかもしれない、でもぼくはそういうものがないと一日たりとも過ごせない人間だったから、生まれた街のことは到底好きになれなかった、真っ白い紙芝居を延々見せられているみたいな気分になった、紙を捲る人はだいたいこんなことを呟いていた、「真面目に生きて、楽しければそれが一番」そういう人生もありだろうな、とは思う、でもなにもそんなものを紙芝居にする必要なんかない、彼らにはそういうところがいまいち理解出来ていない…ぼくはどうしてもそこに染まることが出来なかった、彼らはぼくを気持ち悪がって、いろいろな意味の無いことを邪推しては触れ回って、それですべてを理解したような顔をしていた、
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