陽の埋葬/
田中宏輔
いつから、
あそこにゐるんだらう。
日溜まりの向かふに、
声がする。
日溜まりの向かふに、
声がする。
わたしの声だ。
それは、
とても懐かしい、
わたしの声だつた。
(あのとき、……、)
はぐれた庭に、
わたしがゐる。
(あのとき、……、)
はぐれた庭に、
わたしがゐる。
──カンダタの、はぐれた庭だ。
(あのとき、……、)
華を沈め、
(あのとき、……、)
魂をほどいたのは、
──わたしだつた。
(あのとき、
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