ああ、次の波がもしも爪先にやって来たら/ホロウ・シカエルボク
た、砂浜に沈んだ立木を刺激しないようにゆっくりと立ち上がり砂を掃う、砂浜から立ち上がる時のそんな動作はどうしてほんの少し儀式めいてしまうのだろう?それはきっと夜にそんなところに居るせいなのさ、と、ようやくほんの少し顔を覗かせた月が物憂げに答える、帰るべきだろうか?明日のことを考えればそうした方がいいのだろう、でもなぜだろう、帰らなければならないと考えれば考えるほど、もう一度腰を下ろしたくなってしまうのだ、もう砂の上でも構わないというほどの、強い欲求が激しく心を揺さぶって来るのだ、ただの天邪鬼かもしれない、それとももっと複雑な理由があるのかもしれない、でもそんな答えを求めても結局のところ、ほんの少し
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