ああ、次の波がもしも爪先にやって来たら/ホロウ・シカエルボク
 
ない、ひとりでじっとしているのに夜の海ほどの場所はあるだろうか?観光地でもなければ夜に他人に出会うことなどまずありはしない、そして、波の音は果てしない集中と思考の彼方へ勝手に心を連れて行ってくれる、なんて便利なシステムだ、これはチャンネルの問題なのだ、海を見ても「海だ」で終わるような人間だってたくさん居る、チャンネルの問題なのだ、それはたくさんあればあるほどいい、たくさんあればあるほどひとつの答えに近付く、みんな確信を欲しがるから間違える、確信がなければみっともないとでも考えているのだろう、集団の中でしかアイデンティティを得られない人間の考え方ってだいたいそういうものだ、いかに自分に有利な状況で周
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