ああ、次の波がもしも爪先にやって来たら/ホロウ・シカエルボク
 
、何かいつもと違うことをしてみればいい、ほんの少し変えてみるだけで新鮮味は得られるものだ、ほんの少し違う行動、ほんの少し違う思考、それが出来ないほどに盲目になったものたちが生きているのが過去のような現在さ、砂はどこまでも柔らかく自由だったけれど、長く腰を下ろしているには少し居心地が良くなかった、ポケットに砂が入ってしまうんじゃないかとか余計なことを考えてしまって、心からのんびりすることが出来なかった、だから流木を拾ってきて、スマホのライトで汚れ具合を確かめると、座るのに適した角度を模索してようやく落ち着くことが出来た、それでようやく海の上に視線を戻すことが出来た、別に、狐火を見たかったわけじゃない
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