ものうい夏 /ただのみきや
 
見果てぬ吐息
翼の折れたあの歌に
沈んだきみの 
ほどいた髪を夜になぞらえ
雨よ匂へと血ぬりの頬に

裏と表の厚みの深さ
ことばの首をすげ変えて
業と囃して
きまり壊して
手毬つくように嘘をつく

白く眩んだ紙の原
きみがこみ上げ語句はなく
浮かぶ仕草は翡翠(かさせみ)の
黄金を裂いて滲ませる
風のいろはに目隠しされた
ふるえるエコーの的となり
臓腑の青もあざやかに
抉り抉られ散り咲いて

草葉の露にぬれながら
にごった朝に見つけられ
謂れを失くした銀の鈴
どうしてここにあるのやら




顔のないアイコン

ことばで組まれ
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