それぞれの孤独/朧月夜
 
眠れない夜 眠れない夜。
窓の外には月明かりが照らしている。
その一方で、
西の国では大風が吹いている。

雨は来るのか?
雨は来るのか?
期待と不安の狭間で、

心は風鈴のような微かな音を、
金魚すくいの屋台の夕べに、
ただ少しの耳を傾けている。

そこにいるの?
そこにいるのか?
北国のナマハゲ、罪を求めて。
(そんなことは分かっているはずさ……)

ただ恐怖の代表のように、
彼らは鎮座していれば良い。

眠れない。
ああ、眠れないよ。
常になにかが胸を圧迫して、
息苦しい窒息の境へと誘う。

そう。今日はただ、
眠らなければ良かった。

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