ホソカミキリムシマン/本田憲嵩
 
ホソカミキリムシよ、
君はぼくのひみつの友達、その一人、
君もまたいつの日かのぼくに似て、その身動きはまったく取れず、
やがて本格的なスピードで走行され始めてもなお、けっして振り落とされまいと、
ただただ力みながら、そのポジションに不器用な手足でしがみつこうとしていたのみ、
その哀れでとても滑稽な無様さに、
お天道さまだって君の味方などするはずもなく、
ただただつめたい迷いの風を吹かせつづけて、
やがて容赦のない逆境の夕立をはげしく降らせるのみ、
そうして溜まらずに君はあっさりといつの間にか何処かへと飛び去って行ってしまった、
ああ ホソカミキリムシマンよ、
ぼくのひみつの友
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