陽の埋葬/田中宏輔
、苦しい、苦しい。
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳)
石の水、
(森本ハル『石の水』読点加筆)
この岩の古い肋骨(あばらぼね)、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳、読点加筆)
欠けたものは数えることができない。
(伝道の書一・一五)
聖書のページを繰っている。
(ガルシン『ナジェジュダ・ニコラーエヴナ』小沼文彦訳)
そのときだ、コーヒーの匂いが、階段をのぼってくるのは。
(サン=ジョン・ペルス『讃』XVI、多田智満子訳、読点加筆)
小さい蟻が運んでいるのだった。
(川端康成『十七歳』)
彼らは墓を見いだすとき、非常に喜
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