永遠には生きられないけど/ホロウ・シカエルボク
 
らすというのだろうか?それは多分、誰よりも死について詳しくなるということだろう。いつしか俺は、自己紹介を始め、自分の人生を果てしなく語り始めた。そうして死体の前で自分の人生を解体していくというのは楽しい行為だった。体内でデフラグが行われているような感覚だった。数時間は語っただろうか。喉に渇きを覚え、失礼、とことわって、バッグに入れておいた水を飲んだ。それから急に眠くなって、深い眠りに落ちた。夢の中で、俺は死体である女の人生の中に居た。それは何もない人生だった。アイスクリームやスナック菓子、カラオケやネイルのことばかりの毎日だった。明日はなにをして遊ぼう、そんな言葉ばかりが繰り返されていた。そこに居
[次のページ]
戻る   Point(1)