快楽を乗せて/ただのみきや
しの脳と彼女の心臓
滲み出すたましいの残滓
きみを辿ることの愉悦
その靴跡に自分の靴を重ねることの
だが荷車の轍に興味はない
大切なものは荷車の上にある
多くの者が生活の労苦を
仕事や家族に関わる責任を
そしてそれらの不安や不満を
重い荷物のように言いたがる
だがそれは荷車の重さに過ぎない
荷車の上にあるものに重さなどない
わたしの荷車の上には
一人の白痴の少女が乗っている
座敷牢から出たばかりの
彼女は妊娠している
彼女のつま先で蟻が文様を描いている
淫らな曼荼羅
音楽と煙の
彼女は言葉を発しない
彼女は人目を引き付ける
奇異なもの
異
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