転生の樹/ただのみきや
 
鳥 鳴かぬ鳥
影を慕って追いかける

足を切られて地に降りられず
無窮の汀に見る夢は
日向の叢その中の
囀り合ってる卵たち

低く飛ぶ鳥 鳴かぬ鳥
影に恋して地に落ちた

ガラスの空に押しつぶされて
日差しに首を刎ねられる
赤い夢 赤い影
赤い卵が鳴いている

  *

口琴の音に片耳およがせて
猫は瞑ったまま僕の中にいる
五月のよく晴れた日
捏造された記憶の陽だまり

  * 

奏者の指が弦を震わせる
するとその震えは空気を伝い
皮膚や鼓膜を震わせて
聞く者のこころを震わせるのだ
奏者のこころは震えていたか
否 ただ記憶だけが
湖面
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