サンドイッチマン/本田憲嵩
しぶその黄色いクチバシの先端を風の吹く方角へと向けてみる、ほらな、抵抗減るだろ?って、たしかに抵抗は減っているようにも思える。でもさやっぱりそれがないとおれの寿命が縮んじまうからさ、と、彼はすぐさまぼくの頭からそれを取り上げた。そして彼は、それを真鴨のくちばしの被り物のようにまた被り、抵抗の少なさそうな三日月型のプラスティックのリュックサックのなかから、一枚の三角形のサンドイッチをとりだした。どうやらそれが一番抵抗の少ない食べ物らしい、それから、こつぶの缶ジュースを一本。この「ぶ」の部分が流線型でもっとも空気の抵抗が少ないらしい、彼はいつも箱ごと買い占めているそうだ。そうして急に、あ、風きた、風き
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)