CERN/本田憲嵩
 
CERNそれはちょうど赤い夕暮れのうつりこんだ道路の水溜まりだった。道路わきの草むらにはおそらく子供たちが忘れていったであろう白い野球ボール、水面にはちょうどあのときのCERNたしかにこんなあかい夕暮れで、たしか海の見える駐車場から発進してすぐのことだった。夕空のどこからか飛んできた白い隕石らしきものがぼくの宇宙船のボンネットへといきなり、ゴツン、とぶつかってきてCERNさきに宇宙船を発進させていたのはぼくの方だった。彼女の宇宙船のコックピットの前を通りすぎたときCERNたしかに彼女はまるで遠ざかる天体を見つめるかのようにこちらをじっと見つめていた。そうしてやがていまCERN踏切のおろされた警報音
[次のページ]
戻る   Point(3)