ベルゼバブ。/田中宏輔
ける狂人は終(つひ)にかへり見ずけり(『赤光』)
けふもまた病室に来てうらわかき狂ひをみなにものをこそ言へ(『あらたま』)
暁にはや近からし目の下(もと)につくづくと狂者のいのち終る(『あらたま』)
ものぐるひの屍(かばね)解剖(かいぼう)の最中(もなか)にて溜(たま)りかねたる汗おつるなり(『あらたま』)
有り難いことに、使い魔たる、わっしら、蠅どものことをも、ベルゼバブさまは、たんと、たんと、お歌に詠んでくださっておられます。
留守居して一人し居れば青(あを)光(ひか)る蠅のあゆみをおもひ無(な)に見し(『あ
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