『斎藤茂吉=蠅の王(ベルゼバブ)論』。/田中宏輔
が、異常なもの、グロテスクなものに、こころ惹かれるのも無理はない。
一夜(ひとよ)あけばものぐるひらの疥癬(かいせん)にあぶらわれは塗るべし(『ともしび』)
うち黙(もだ)し狂者を解体する窓の外(と)の面(も)にひとりふたり麦刈る音す(『あらたま』)
狂者らは Paederasie をなせりけり夜しんしんと更(ふ)けがたきかも (『赤光』)
あたらしき馬糞(まぐそ)がありて朝けより日のくるるまで踏むものなし(『ともしび』)
狂人のにほひただよふ長廊下(ながらうか)まなこみひらき我はあゆめる(『あらたま』)
けふ
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