照準鏡の軋む声を/ホロウ・シカエルボク
だってそうなのだ、迂闊に目を閉じてしまった日には…建造物の冷たさは日常が途切れる瞬間に似ている、ぼんやりとして―その感覚の中にすべてを委ねてしまうのだ、俺は殺人者になりたい、被害者は必要としていない、だからいつだってこんなものを書き続けている、セオリーに乗っかることで安心したくない、そう、そこにある熱を翻訳するときっと一番殺意に似ているのだ、俺がこんな言葉を使ってしまうのは…こんな概念にどっぷりと漬かってしまうのは、根本に埋もれている動機にそんな視線が隠れているからさ…美しさ、真っ当さなどなんの基準にもならない、そんなものを良しとするのならこぞって仏門でも潜ればいい、美しさや正しさこそを美徳とした
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