照準鏡の軋む声を/ホロウ・シカエルボク
のノーマルな自分は、何故だか少し嘘をついているように感じられる、ぼんやりと虚空を見つめている俺には、天使どころか虫けら一匹殺せることはないだろう…ぶらぶらとどこかを歩こうか?もうどんな店も開いていないだろう時間だ、薄暗い路地をぶらつこうか、殺人者の目つきでさ、でも身体は動いてはくれない、なんという忌々しく煩わしい肉体、他人のせいにするわけにもいかない、カーペットの上を砂漠の蛇みたいにうねりながら移動した、テーブルの上のグラスが落ちて欠けたけれど気にはならなかった、床と壁の接地面は冷たく、アルコールのダメージを癒すにはちょうどよかった、気をつけなければいけない、そのまま眠り込むと悪夢を見る―いつだっ
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