生死の花束/ただのみきや
 
不滅の太陽の血を飲んだ
魂は気化し地下茎は炭となり
盲いた幽霊のように手探りで
誰かの夢の中
朧な形象のまま
頬をつたうひとすじの水脈もまた
過去からのもの
借りものの幽霊


傾いてゆく 
少しずつ
時と重力に抗う
あの一本の吊り糸が
今ゆっくりとほつれ
わたしが倒れるのと
わたしの人生からものごとが滑落するのと
どちらが先か
傾いてゆく
ギリギリまで
世界ではなくわたしが


黄が緑に勝っている
蒲公英は太陽を宿す
蝶はふるえる
二つの唇の間で立ち止まる息のように
そしてふれる
草葉は波立っている
原野ではない
人がしばし手を付けなか
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