ASCHE UND LANGE /アラガイs
 
はええ子やったのに……おまえなんか後から身代わりに生まれてきたようなものだし、」そんな言葉を幾度も長兄から投げかけられてきたこともある。霊前に掲げられていた聡明な顔写真を見れば自分もそうだな、と頷けた。もしも生きていられたらどのような人生を送り、どのような人物になって成長していたのか、、これも神様の巡り合わせだと、素直に感謝して霊前に手を合わせた。
一度風邪をこじらせて手遅れになりかけたときも、炭酸飲料の瓶を叩きつけて顔に破片が飛び散ったときも、そして工事場の土砂から車ごと転落しかけたときも、先に亡くなった次兄から授けられた守護霊のおかげだと、わたしは密かに信じていたものだ。何処へ行くにしても、
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