わたしたち死ぬと甘く軽い生きもの/片野晃司
 
て白い山になったのを割烹着の数人がかりで手際よく赤いビニール袋に詰め、先のとがった三角形の形に整えて遺族へ手渡していくと、それで儀式は終わり。それから入れ替わりに次の遺族と次の亡きがらが運び込まれて炉の蓋を閉めてドン、さらさら、甘い匂い。めいめいに白い粒の入った赤い三角の袋を持たされて、そしてまた次のドン、さらさら、甘い匂い。春の日も、夏の日も、ドン、さらさら、おいしいね、ふわふわだね。手のひらに乗せて、さらさら、ふわふわ、食べながら林を抜けて帰ろうね。陽炎の踊る夏の日も、息の凍る寒い冬も、ドン、さらさら、ドン、さらさら、年寄りも、子供も、わたしたちふわふわとさらさらになって、良いことも、悪いこと
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