だからもう一度、初演の舞台の中に/ホロウ・シカエルボク
るのを待っている、どうでもいいことに違いない、指先の傷だの、しまいこんだ記憶だの…だけど人生のほとんどはどうでもいいことで出来ている、そんな一見無意味な出来事をあれこれと紐解いているうちに、猛烈な電流が全身を駆け抜けるみたいな真理を見つけることだってある―だけどあまりそんな解答に固執してはならない、生命活動において固定された解答というものは在り得ない、そうでなければ見つけてしまった瞬間にすべてが幕を閉じてしまうだろう、唐突に閉じられた緞帳の前で、茫然としてアンコールを待つだろう…でもそんな機会は二度と訪れない、そこには観客が存在しないからだ、誰も居ない劇場でたった一人で舞台に立って即興芝居を続けて
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