裏庭/由比良 倖
本たちが静かに歳を取っていく。
僕は白いプールのような一室で音楽に浮いていますが、
隣の宇宙であなたは今この瞬間、何をしていますか?
この眼で確かに見るようなのです。
ゴッホの、汚れた塗り絵みたいな室内には黄色が多くて、
寂しさの永遠性を象徴していて、僕にはそれはまるで、
世界の裏庭のように見えるのです。
(冷たいせせらぎの数々。)
神さまが作ったにしては綺麗すぎる世界の中で、
僕は一個のグリーンピースを転がしていました。
今この部屋にいて、ストーブは沈黙していて、
聞いたこともない、外国の汽船の音なんかが
懐かしくなったりします。
その船の旗や、ロープや
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