狙いをつけるのは銃弾の役目じゃない/ホロウ・シカエルボク
 
だろうか、それとも予報の通りに少しは光が増しているだろうか?確かめることも出来たけれどしなかった、どうせあと一時間もすれば洗濯物を取り込まなければならないのだから、そのときでいい―昔、眺めの良さに惹かれて四階の部屋に住んだことがあった、ところがほとんど時間をこんな風にカーテンを閉ざしたまま暮らしていたのさ、建物の前は開けていて、誰に覗き込まれる心配もなかったというのにね―思うにこれが性分というところなのだろう、部屋の中にいるときには、自分以外に必要なものはない、座っているとどのみち、ベランダに遮られて空の色が見えるのみだったしね…いつだったか、そう、開放されている津波非難タワーに上って、海の上に果
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