見送る夏/白書易
 
とも、
糸もパンも作れないので刺繍もできなければ食事の用意も 存在できないで途切れてる のに
世界は幻のように作られていて制服にボタンが何個付いているかも忘れてしまいそうになって、
これは日記で続きがある。


これは日記で続きだ。
庭園の東屋のその天井の下にあなたはいたでしょうか
誰かの見ている影を探して街を歩いたが
グラウンドに立てたはずのポールは
大気圧でぐにゃりとねじ曲がり
彼を呼びとめる者の声が
どこかへ吸い込まれ
聞えるはずの声は返らない

空虚によって
両耳がつまっている

私が呼びとめようとしたばかりに彼は二度と帰らない。
語りえぬものを語れ
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