眺望良好、息を切らして/あらい
 
だらしなく無気力な男だ。
耳鳴りばかりに気を取られてしまう
重く沈み込む空調の爪痕がボロく、思考は厭に冴えているのに
寄りかかって埋まるまま、独りでは余るソファーに膝を抱えてしまう
湿り気を帯びた白檀の烟りだ
化粧を落とした女を書斎に収め演じるように彷徨きまわる
赤い糸は切れてしまったのだ。
その記録、海のようでいて蚯蚓のようにだいぶ水が溜まっている
目印が黒点と賽の目が結晶とつぶらに鈴の音を偲ばせる
今この像の柱から肌にかけて突っ張る生え際から襟首まで
いくつかの凹みとカブレがある
ヌバいろの今昔に中たる言論の歯型ついて。
乱れた底に過度におられた罪について。
今こうし
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