デスマスク/ただのみきや
くぐる刹那に口縄のよう
ガラガラ自我を引きずりながら
*
樹々は女を映している
ぼくはめだまをえぐり出す
陰影の陰と音韻の韻が溶け合っている
影は翻る
響きの中で
概念化を嫌い
あまたのことばと踊りながら
その影に息うもの
だが肌は飢えたまま
星の孤独を知るものよ
眼差しで触れて懐妊せよ
*
よしなさい
それ以上傾けると悲哀がこぼれてしまうでしょう
つめたい下げ振りひとつ それがきみの信仰です
*
黄砂が舞う日 ミサイルが飛ぶ日
民は坦々と日常を生きる
燃えさしや氷の塊をこころで包み
運びあぐねて顔にも出さず
ただ影
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