デスマスク/ただのみきや
 
だ影を
己より弱いものを巻き込む航跡のような
荒ぶる影だけを引きずりながら
社会性を信条とする個人主義
絶えず光を意識した
その顔は太陽を運ぶおぼんのよう
ぼくもまたきみらの一人
だけどきみらが大嫌い

 *

では名付けてみよう
臆病者 
猫に恋した震える犬
働く怠け者
飲んだくれの酩酊者
詩的自傷行為にふける者
生を悲観し死を楽観する
眺めるだけの漂流者
他者を背景とし自分のみを観客とし
 己の影と踊る者
鏡に映った真逆の自分に恋をした
 不細工なナルキッソス
変化を求め変化を恐れ
信じる者だが
 信じる自分が信じられない者
快楽を求め
 
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