デスマスク/ただのみきや
おまえはおまえから水のようにあふれ出す
素焼きの面を突き破り
涙と笑いの濁流が
古い殻を後にして
新たな肉体を生成する
おまえはほどかれた書物
書かれていたことも書かれなかったことも
風の衝動 支離滅裂
絵具の明かりに溶けてゆく
カーニバルの行進
精霊たちの膨らむ影
*
走る
色彩は燃えゆらぎ季節に終わりなく
旋風をいくつもくぐり抜けて
久遠の彼方あの中心
出現と消滅の座標なき一点へ
空白に焦点もなく眼差しを預けたまま
自らの影が伸びるままそれを羅針とし
まつろう夢の羊水も乾かぬまま
走る
手足をも投げ捨てて記憶を火花のようにまき散らし
くぐ
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