幽隠偶感/あらい
 
そえるだけで雪解けがはじまる、乱行に及ぶ志(こころざし)など、ひとつぬかし、不透明な聖典を紐解いた象徴的な水面が見世物のように、違いなく、正面からしとやかに振る舞われる。
 特定の色だけを衣に感覚が風景を鈍らせる、浮腫は、形跡だけを開いて黄泉路を舌にする。
 私情を縺れさせた情熱が篤く脚色され天壌を抑え、これまでの感情で或る不安や余裕を強引に風味と馴染ませ、果実の恩寵は楽団を抱え込む。濡羽に応(あた)る髪を押さえ鳥が舞頻り。乱流が弛緩した扉を軋ませ好意を漏った。触れあえば熱を膿み膨れ上がる、浮遊した瞬きがうたかたを呼び込み表記の規律が《くだん》の感覚を狂わせる。

 一服。洩る、

 
[次のページ]
戻る   Point(0)