幽隠偶感/あらい
 

 欠片一つないヘドロの奥そこに、美しい器がその土壌において――永遠(とわ)。私から見れば何処からとも傷もなきものと栄える、ただただキミにこれが見えるのか皆目知らぬがホトケとしただ合掌と抱擁する。

 これら暗澹も何処へと灯火せよと焚きつける導(しる)べを、どうか、歎息と致す。

「これは私と過去を紐解き、私の未来へと次(つ)ぐものだ。」

 大層汚れた碗は破れものと拾い上げてやる。そのかたびらはやはり透いていた。このすがたが面とあることに気づく。それは意識せずとも口角を上げ、一つ手にとってその重みと淑やかさが陽として跳ね上げる。
 黒白に目が細まり、ほぉと鳴く。己が息の根に驚き、随
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