読むことのスリル──ひだかたけし小論(4)/朧月夜
す。作者は単なる「詩の書き手」ではなく、「詩人」へと昇華したと。
詩人とは、すべての人と同じように、老い、衰弱するものです。かつて、栄華を誇った詩人である萩原朔太郎が、「氷島」「純情小曲集」において老いを曝したように、いつかは詩情が枯れ果てるときがくる──そのことを、わたしは疑ってはいません。ですが、まだこの詩人──ひだかたけし──には、成長の余地が残されているように思えます。その胆力を思うとき、わたしはある種の敗北感を覚えます。わたしはこのように、詩を書き続けたりはしないだろう……と。ですが、わたし自身の思いは置いておきましょう。読者も、作者の愚痴に付き合う余裕も、興味もないだろうと思えます
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