読むことのスリル──ひだかたけし小論(4)/朧月夜
ます。
「坂道」という詩は、作中の登場人物である「二人」を通して、「全世界」へと誘う詩です。このとき、「交感」は一手段にしか過ぎないと言えるでしょうか? どうでしょう。象徴主義の時代、「交感」とは、詩的表現のすべてを言い表すようなものでした。そこでは、抒情詩の伝統、あるいは吟遊詩の伝統、というものが尾を引いていたでしょう。あるいは、ロマンティシズムの影響もあったかもしれません。ここで、西洋における詩の歴史を事細かに解説することはしませんが、「交感」というものもある種の伝統、そして人間の本質から生まれ出てきたものであるのです。さて、ひだか氏の詩にはそれがあるのでしょうか?
わたしは、「是」とも
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