読むことのスリル──ひだかたけし小論(4)/朧月夜
考え方を信頼したいと思うものです。すなわち、作者はこの作品に対してこだわり、または自負を持っていると。
「運命〇花の人」というのは、美しい詩です。そこでは、詩の対象は「咲き誇る、誇り咲くのは花の人」として描かれています。そして、「花開かせよう花開かせよう(中略)己が霊性に燃え盛る花。)と。ここでは、詩の対象が作者の所有物となっています。その点が、「坂道」という詩とは異なる点です。「坂道」という詩では、「僕らは何処に行くのだろう/僕らは何処から来たのだろう」と書かれているように、作者は自問自答へと帰っている。対象をただ讃えはしない。わたし自身は、そこに作者の衰弱ではなく、深化を見たいと思うのです。
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