読むことのスリル──ひだかたけし小論(4)/朧月夜
 
の詩は凝縮された詩想、熟成された詩想を表していると言うこともできます。しかし、この小論の初めにわたしが提示したように、「時間」というものは何でしょうか? ある詩人の作が主であるとき、それ以外の作品は従という関係性を持ちます。完成された作品にとって、その他のすべての作品は従です。
 わたし自身は、作者が「良い」と判断すれば、それを「良い」とする態度を貫いています。自選以上に作者の本質を言い当てるものがあるでしょうか? そのためには、いかに完成度の作品であっても、作者の推す作品以上に主とはなりえないのです。この「運命〇花の人」も卓越した作品ですが、作者が「坂道」という作品を推す以上、わたしはその考え
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