読むことのスリル──ひだかたけし小論(1)/朧月夜
 
とき、見えてくるからです。
 序文があまりにも長くなりすぎることを避けるために、氏の詩を引用しましたが、ここからさらに論を進めれば、序文自体が本文になってしまいます。ですから、ここでは、氏の詩を紹介するにとどめ、「〈根源悪〉の原体験/異邦の恐怖」の解説については、後の章に譲るとしましょう。ですが、心ある読者であれば、この一節を引用しただけでも、この「詩人」に興味が湧くことと、わたし自身は考えています。後は……評者としてのわたしの力量が問われることになるのですが、いかがなものでしょうか。
 さて、わたしはこの序章の副題を「時間について」としましたが、そのことを忘れてはいません。時間とは、物理学の
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(4)