読むことのスリル──ひだかたけし小論(1)/朧月夜
 
学の世界では空間の三次元に対するもうひとつの次元、すなわち第四の次元だとされています。わたしたちが右にも左にも、また北にも東にも行けるように、過去にも未来にも行けるのが、物理学の世界での常識とされています。
 ですが、このことは真実でしょうか。わたしたちは、現在というものを認識し、未来には行けるものの、過去に赴くことはできません。このことには、「時間の矢」というものが関係しています。熱力学の第二法則に基づき、「物事が乱雑に向かう方向に進むのが未来である」というのが、現在の物理学の答えです。そして、生物の脳はこのように、熱力学的な「時間の矢」にそって、未来というものを認識している、と。
 そのた
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