読むことのスリル──ひだかたけし小論(1)/朧月夜
いために、氏の詩から一節を引用しましょう。何を引用するか迷ったのですが……
薄暗い
漠然と広がった
空間のなか
台形の
ノッペリとした
大人の背丈半分程の
鉛色の工作機械が
等間隔で何台も
一列に並べられている
これは、「〈根源悪〉の原体験/異邦の恐怖」(*2)という詩の、最初の一連です。詩に詳しい人、あるいは詩に興味のある人であれば、この一連だけで、魅了されることは間違いないと思います。こうした表現は、昭和初期のクラシカルな詩、あるいは戦後詩にもまま見られるものですが、それでも氏独自の表現であることが、それに続く詩全体を読むとき
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