読むことのスリル──ひだかたけし小論(1)/朧月夜
 
から詩を書き始める人などいません。その後成功するか否か、ということを鑑みても、人は早くても十歳前後からしか、詩を書き始めることはできないでしょう。それ以前の詩は、いわば「手習い」の範疇に属するものです。
 ですが、わたしが言いたいのは、そういうことではないのです。例えば、四十歳、五十歳を過ぎて、人が詩を書き始めた時、そして、それが歴史的な賞賛に値するような詩であった場合、その詩人は「生まれながらの詩人」として評価されるべきものではないのか、といった問いです。この問いは、表面的には易しく、深く考えれば難しい問いです。そこに、「時間」というものが関係してくるのです。
 ここで、読者を退屈させないた
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