オカルト/岡部淳太郎
ス}に微笑むのだ
君は夜
すでに橋を渡り終えた夜そのものだ
君は眼を開いて
生まで引き伸ばされた死を
人類の寝室の前で閉ざせ
晒されていた患部がゆっくりと隠されるだろう
守られていた恥部がゆっくりと語り出すだろう
眼を開け
何がまだ見えないのか
大声で叫べ
眼を閉じよ
静かに仰臥してあらゆる声に耳をすませ
夜の馬も夜の騎士も夜の静物も
すべての怪しく蠢く夜の鬼畜どもは
決戦の時を迎えて雄叫びを上げるだろう
また瞼の裏の
夢ではない明らかな映像の中で
君は月下での人類の大量死を見るだろう
かつてない飼いならされた価値の大量虐殺
君の死を隣の君がみとり
隣
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