オカルト/
岡部淳太郎
隣の君の死を君がみとる
かつて経験したことのない幸福な死
それらの呪われたのではなく祝福された
声と映像に飽きたなら
眼を開け
おもむろに起き上がって窓の外の夜を眺め
辻斬りや辻説法が幅を利かせていた過去を思って
鳥の秘術に照らされて
これまでの数多の物語を歌え
時は夜
幽霊はすべってゆく
君は歩いてゆく
隠されていた夜は
いま
急速にあばかれる
連作「夜、幽霊がすべっていった……」
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