二人は森に住む/ただのみきや
明け方の夢の中へ
二人の少女を置き去りにした
二人が望んだことでもあった
彼女たちはわたしの一部だった
寝付けなかった
疲れはたまっていたし
酒もしこたま飲んではいたが
職場のとばっちりで忙しく
変に上司に気を遣う日々が続いていた
とるべき休暇に
何か言い訳をつけなければいけないような
そんな普段と違う考えが巡り感情が毛羽立って
昨日となにも違わない今日にもうなっているのに
寝返りの度に頭だけがぷかぷかと岸辺に寄せられて
呪術は自然に施される
──暗い夜の森に迷い 沼底へ
対照的対称としての半身がわたしを引きずり込むように
星一つない真っ暗闇が天を覆
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)