ある日、なにもかも塵のように/ホロウ・シカエルボク
は見えなかった、病院から女は会社に連絡を入れ、俺が意識不明の状態で救急搬送された、と告げた、どういうこと、と、俺は尋ねた、「あなた、まだ死んでないですよ…魂がまだ繋がっています、病院で身体を維持してもらえばそのうち戻れるかもですよ」そうなのか、と俺は他人事のように返事をした、「で、さっきのなに?」いやまあ、と女は初めて口ごもった、「あまりにも、いい状態だったので…」「変だよ、君」俺の処置が一段落するまで女は病院に居て、病室やら病状やらを確認すると会社へ戻っていった、俺の仕事用のパソコンのパスをスマホに記録した上で、これで会社のことは心配ないか…と、俺は一安心した、まあ、別に心配もしていなかったけど
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)