ある日、なにもかも塵のように/ホロウ・シカエルボク
入らないですけど、と、吐き捨てるように彼女は言った、「そうです、そっち系です」で、どうしたんですか、と少し真剣な調子で尋ねてきた、実は昨夜こういうことがあって、と俺は洗いざらい話した、彼女は時々うんうんと頷いて、とりあえずお部屋に行ってみましょう、と言った、「俺の部屋?」「私の部屋なわけないでしょう」と彼女は言った、そりゃそうだ、女はいったん机に戻り、一段落ついたのでちょっと〇〇さんの様子見てきます、と、課長に声をかけた、おう頼む、と、課長は書類から目を離さずにそう返した、君俺の家知ってたっけ、と俺は訊いた、そんなわけないでしょう、と彼女は答えた、スマホを取り出し、地図アプリを起動させる、「住所教
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