ある日、なにもかも塵のように/ホロウ・シカエルボク
 
なほど速足で駅や駐車場へと向かって行った、自分がそこに居ないいま、そんな光景はオチの無いコメディのように見えた、会社でも覗いてみるかな、と俺は思いついた、課長や同僚たちが俺が居ないことに慌てながら、それでもとりあえず仕事を片付けなければとバタバタしているさまをニヤニヤしながらしばらく眺めていると、ひとりの女子社員が席を離れた、二十四歳の秀才、美人だけどいけ好かない女だ―トイレにでも行くのかな、俺は興味本位であとをついて行った、トイレの手前で彼女は振り返り、明らかに俺の方を向いてこう言った、「なにやってるんですか?」え、と俺はたじろいだ、「見えてるの?」「はい」「あぁ…君、そっち系?」言い方気に入ら
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