ある日、なにもかも塵のように/ホロウ・シカエルボク
り沿いの信号や二十四時間営業の店舗を除けば、玄関や街灯などのひっそりとした明かりがあるだけだった、天上の星空に比べれば味気なかったが、そんな灯りの羅列も悪いものではなかった、俺は上空から馴染みの場所を眺めながらうろうろした、妙に既視感があったのだが、しばらくそうしているうちに地図アプリのせいだと思い当たった、もちろん、アプリが写せないものまではっきりと見えた、男の夢、みたいな光景だっていくつも見えた、ただどうにも気分が盛り上がらないのは、きっと肉体を離れているせいなのだ、そんなことをしているうちに夜が明けた、すっかり明るくなるといろいろな建物から水漏れのように人々がちょろちょろと出てきては奇妙なほ
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