初期化の螺旋/ただのみきや
 
雪は走る床を裂く鋸のように
摩耗した光の道で苦笑する花は砕け
蝸牛の胆汁より苦くほとばしった
祈りの結露に午後は潮解する

書き変えられた値札の意味を問う
蔦のような沈黙が蓋のない箱を締め付ける
きみの鍵は齟齬を許さない
羽毛舞い散る部屋の中で自分の脳を掬い上げ
デッサンする屈めた膝から記号に変わって
ぼくの神は死語を許さない
生の余剰が行き場を求め脚もなく液化した
手のひらで弄ぶ賽子は口づけ

ぼくは仰向けに布石された盲点だった
熟れた風のマフラー氷の八重歯
人もまばらなマーケットできみの鬼門はさざ波のよう
縫い閉じたページを甘噛みしている
余力のない世界に刺
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